いのちの光 学園牧師のメッセージ

メッセージ

2015/10/02
~『失敗者の自叙伝』に学ぶ~(15) 

~『失敗者の自叙伝』に学ぶ~(15)  学園長・牧師 道城献一

教師の特権を感謝し、喜ぶ

滋賀県立商業学校に赴任して一年に満たない、1906年1月の日記に「こうして学生たちの心の奥底に触れうることは特権だ。しかし、相当な労力がいる。他の教師たちには、だれもこの労苦はわからないし、愉快さもわからない。確かに血液を使い果たし、白髪をふやす仕事である。しかし、生きがいのある生涯だ」とヴォーリズ先生は言っています(『失敗者の自叙伝』p.200)。

これが、教育の真髄なのだと思います。教師と生徒との縦の関係で教えることや助言・指導すること以上に、人の心のひだにふれることができる特権を感謝し受けとめなければと思います。

知識を優先的に重んじる教育では、それは、わずらわしく面倒なこととして考えられることかもしれません。しかし、それこそが人間教育の本質的な事柄だと考えますが、これまでの受験制度の影響から受験のための知識や技術的な応用を重視する教育では、教師も生徒も教えることや学ぶことの真髄を体験できないまま学校生活を送っているように感じます。

大学入試制度が大きく変わろうとしている日本の国も、これから本当の人間教育の真髄に深く触れる教育が実現されて行くだろうと期待をしたいものです。人間を創り上げる教育である「至福の芸術」に、それに関わる者の心が通い合わないはずはありません。今、本来の教育に立ち返る時が来ているのではないかと希望を持っています。「心の奥底に触れる」人間教育が学ぶ者の感動を呼び覚ます成果をあげたいものです。学園の創立精神である「イエス・キリストを模範とする人間教育」、学園訓「地の塩・世の光」がさらに光り輝いてくる時なのだと確信しています。

教師の日々の労苦が生徒の学びを通して豊かに報われる時が来ていることに感謝したいものです。児童や生徒の人間形成の大切な過程において、心の奥底にふれる働きができる特権に、日々感謝をもって、その喜びを表したいものです。

ヴォーリズ先生は、人生の晩年を迎えた49年後、当時の学校での教育を回顧し、教え子の一人一人の名前と顔を想い起しながら、「彼らがみな自分の実子のように思われ、みな同じ天父の家の兄弟のようにも思えてくる。私の最も満足に感ずることは、そのころ私と接触していた青年たちが、問題の生徒たると優秀な生徒たるとを問わず、ほとんどが有用な人材となってくれたことである」(P.198)と語っています。

教師と児童・生徒の関係は、まさに生涯の繋がりとなることを肝に命じて、重い責任を授かっていることを自覚し、また、その大きな特権と喜びが伴う使命を誠実に果たして行きたいと願っています。成長途上にある児童や生徒が個々に与えられているタレントを力いっぱい伸ばし、輝いて社会に遣わされる日を夢見ながら、希望ある未来を創り出す学園教育でありたいものです。   未来を担う子どもたちへの教育を通して、子どもたちと共に未来を創る重い責務が与えられていることを深く自覚し、感謝しなければと考えます。

ページトップへ
ページトップへ