いのちの光 学園牧師のメッセージ

メッセージ

2015/04/08
~『失敗者の自叙伝』に学ぶ~(9)

“課外活動”が人間的成長をもたらす

高等学校時代から大学時代はヴォーリズが“課外活動”に輝いた時でありました。点取り虫の勉強主義から魂が解放され、自由に、広い視野をもって学び、自由時間を自分の好きな課外活動にあて楽しむ経験が記されています。大学入学後は、学生YMCA活動や文芸クラブでの熱心な活動が、彼の生き方に広い視野を与え、人と協力して物事をなすための良き経験を重ねたようです。

大学二年生の時に、ヴォーリズは学生YMCAの会計係りに任命され、その手腕を発揮したことが記されています。月々の会費の徴収や、活動費予算の確保など、骨の折れる仕事であったようですが、活動のさらなる活性化のため、予算増額を企て会費収入増を訴えました。聖書の「貧しい寡婦がわずかに持てるお金のすべてを捧げた」物語を引用し、会員に訴えかけ、予算増額の目標を達成して会の活動拡充につながったことが述べられていますが、その中心的なメッセージは、容易に都合がつくものを捧げるのは、真の「捧げもの」にならないこと、個人的な必要を犠牲にするのでなければ、真の奉仕にはならないことを訴えます。捧げものの額が多い少ないは、奉仕を測る基準とはならないことを説きます。

このようなメッセージを取り次ぐことができる青年ヴォーリズの成熟した信仰に教えられます。人の心にインパクトを与え、人を動かすメッセージを備えた青年ヴォーリズの熱き心は、来日後も、この近江八幡の地で、「神の国」建設という壮大な夢へと膨らみ、それを実現させる情熱となって、様々な事業へと展開して行きました。

その働きは、志を同じくする者の働きとなり、一つの目的のもとに多様な個性や才能の人々の連携による協働の事業となりました。そのことは、後に、ヴォーリズ自身が「近江兄弟社綱領」において「日本人と外国人との完全な協力を実現する」と記していることからも伺えることです。

課外活動を通して、生徒独自の個性が発展し、潜在能力、タレントが引き出され、社会でその力が活かされることに注目したいものです。個人が自立した人になる目標だけではなく、人々と協力し、協働の働きを進めることに目覚めさせる学びが教育の働きとして必要とされていると思っています。

特に、民族、言語、文化の多様性に富むグローバル世界にとっては、そのような働き人が必要とされていると考えます。異質なものを認め合い、「隔ての中垣」を互いに取り除くために、人の心を動かすメッセージを持ち、そして人との協働の働きを推し進めることができる若者を世に送り出したいものです。人間のすばらしさは、異なった者が一つの目的のために、他を受け入れ、力を合わせて協働の働きができることにあると信じています。

孤立した個性ではなく、多様性の中で協調性を養い、人々と協力協働の働きができることは、地球規模の国際社会の発展には欠かせない教育課題であると考えます。異なった宗教・文化・社会習慣など、多様な国際社会が共に生きる平和で豊かな社会となるためにも重要なことです。

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