学園

いのちの光

2018/10/12
いのちの光 『隣人愛』―わたしにできること

 

中学校聖書科 大門 耕平

 イエスは言われた。『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』

マタイによる福音書22章37節~39節

 10月28日は、ヴォーリズ先生の誕生日です。ヴォーリズ学園では、毎年10月を創立者であるヴォーリズ先生に思いを巡らす期間としています。

ヴォーリズ先生は、生涯を通して常に神様に祈り、そして隣人のために行動されました。このような生き方を貫いた理由について、『失敗者の自叙伝』には、次のような記述があります。

「私に与えられた使命は、むしろ様々な職業を通じて、人間生活の基準となるような、キリスト的生活の徹底的な実践にあるということが、明らかになってきた。なぜなら、世の多くの実業家や、農、工、その他に従事する人々は、ある特殊な職業は別として、自分たちのような仕事の中で、キリスト精神にしばられては、とても満足な世渡りができないということを考えたり、語ったりしているが、はたしてキリストの精神が一般の生活に適用できないか、自分が一つ実験してみたいと考えた。」『失敗者の自叙伝』P.72

この文章は、ヴォーリズ先生の日本での目的を伝えるものです。当時、仕事で利益をあげることと、キリスト教精神を持つことを両立させることは、非常に難しいこと、時には、相反することだと考えられていました。このような中、ヴォーリズ先生は、それでもキリスト教精神と社会で働くことは両立できる、すなわち、神様のため、隣人のために働くことと、仕事で利益をあげることは両立させることができるということを、この日本で、自分自身の生涯をかけて、実験し、証明されようとしていたのです。ですから、ヴォーリズ先生の生涯には、神に祈ること、隣人のために行動すること、そして社会で仕事をすること、この3つが常にありました。

社会に大きな変革が訪れています。日本の内閣府は、2016年1月22日、Society5.0を提起しました。Society 5.0は、IoT等で集めた山のようなデータを、AIで処理、判断させ、ロボット(機械)等に実行させることとされており、この技術を活用することで、人間の生活をより良くさせることができると言われています。Society5.0により、人間中心社会が実現すると期待されています。

ヴォーリズ先生が日本に来られてから113年を迎え、日本の社会には、人のためになることを目指すことと、社会で働くことが一致するという考えが広がってきています。多くの企業や個人が実際に行動しています。改めて、ヴォーリズ先生の志の偉大さ、受け継ぐことの大切さを教えられます。創立者のヴォーリズ先生の生誕を覚える今月、私たちは、改めて、キリスト教精神、神様に祈ること、隣人を愛することを常に持ち続けたヴォーリズ先生を想起するとともに、私たちも、ヴォーリズ先生の行われた実験を受け継いでいくものでありたいと願います。

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ヴォーリズウィーク 

学園ではヴォーリズ先生の生誕日、10月28日の週の期間をヴォーリズウィークとして位置付けています。今年も各種学年礼拝や放送礼拝等でヴォーリズ先生のことを学ぶ期間としていろんなプログラムが計画されています。学園の教育の中身は祈りのカードに、学園訓「地の塩」・「世の光」、「主の祈り」、「讃美歌236番」、「校歌」、「平和の祈り」に集約されています。

 

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